【徳島新聞 平成5年7月30日付より】
一匹のでんでん虫(カタツムリ)が、自分の背中の殻の中には悲しみが詰まっている、と嘆いた。
それを聞いた友人のでんでん虫が、あなただけではない、私の背中も悲しみでいっぱいですーと答えたそうだ。
児童文学作家・新美南吉が1935年に発表した「でんでんむしのかなしみ」は、生きる上での不安や苦悩をつづった童話だ。上皇后美智子様が少女時代に読み聞かされ、心に残る物語に挙げられたことでも知られる。
(中略)
戦時中、29歳で早逝した新美については、徳島出身の童謡詩人・楠木しげおさんの『新美南吉ものがたり』に詳しい。16歳の頃の日記には、「ストーリーには、悲哀がなくてはならない。悲哀は愛に変わる。(中略)俺は、悲哀、即ち愛を含めるストーリーをかこう」と記していたという。
(中略)
きょう、新美南吉の生誕110年。
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朝霧カタツムリYogaの名前の由来は、この童話がもとになっています。そして、主人公のカタツムリはその当時の私そのものでした。
「悲哀は愛に変わる」
これは、ほんとうです。その可能性があるのです。そして、だからこそ、私はヨーガを伝えているのです。ここのところ、こんな感覚も時代遅れなのかもしれないと、私のプロフィールページから削除しようかと考えていたのですが、南吉さんに止めて頂いたような気がします。
何故、私がヨーガを伝えているのか、原動力となっている「悲哀は愛に変わる」を改めて、信じ直します。
私が私をあきらめなかったように、あなたにもあなたをあきらめてほしくないから。