囚われから自由になる

 

ヨガのたね講座、今シリーズ最終回のテーマは「囚われから自由になる」 担当講師は神奈川県在住の中田美幸さんでした。

 

「囚われ」と聞いて、みなさんはどんなことが思い浮かびますか。また、私たちはどんなものに「囚われ」ているでしょう。

 

その答えは人の数だけあるでしょうけれど、共通していることは〈自分が自分ではないような感覚をもたらすもの〉と言えるのではないでしょうか。

 

「囚われ」をテーマとして、みんなで話していくと次のような言葉が並びました。

 

・高校・大学を出たら、会社に就職するのが〈普通〉だと思い込んでいた。それ以外の生き方の選択肢はないような時代背景があった。

 

・男らしく、女らしく、といった性別による囚われ 

 

・自分が理想とする状態と現実とのギャップに落胆する。その感情に苛まれる。

 

・良い習慣、良い生き方を大切にしようとするあまり、そこから外れる自分を許せない。

 

・現状の忙しさ(子育てや介護など、人生で起きること)に埋没している。

 

・人生で起きる苦しみや悲しみ、生きづらさから抜け出せない人がいる。

 

などなど……

 

では、私たちはずっと同じものに囚われ続けているのでしょうか。もし、そんな状態が長く続けば、心身を病んでしまうことになりそうです。

 

基本的に、私たちには自浄作用が備わっていると私自身は考えています。

 

・本音を打ち明けられる誰かがいれば、「話す」ことで肩の荷が下り、今の自分の状態を客観視できる。

 

・何かで気分転換を図ったり、しばらく休むという選択をとることで、心にゆとりが生まれ、思い直すことができる。

 

・時間の経過や状況の変化で、心が囚われから解放される。

 

などなど……

 

けれども、うまくいかないことだってあるし、囚われている状態に気づかないままでいることだってあるかも知れません。

 

あらゆる「囚われ」から自分自身を楽にさせてくれるものとしてヨーガは有効です。だからこそ、古来から、今に至るまで、ひとが手放すことなく受け継がれてきたのでしょう。

 

 

 

 中田さんが「囚われから自由になる」をテーマに、私たちの意識をより自分自身に集中させるヨーガの方法として

 

・身体の自然な動きに合わせた呼吸の「吸う」「吐く」をいつもの逆にしてみる (比較してみる)

 

・吐いたあと「保息」する。吸ったあと「保息」する。そのあとの変化を観る。

 

・吐いたあと保息したまま、ポーズを深める。そのあとの変化を観る。

 

などをプラクティスのなかで、シェアしてくれました。

 

いつもと違うことをすると、より注意深く自分そのものに集中しようとします。そして、要らないことは一切考えません。考える余地がなくなるのです。そして〈いつもと違う少しの負荷〉は次に〈より身体を緩める〉ことに繋がっています。

 

このように「いのちは必ず反応する」ものなのです。ヨーガの練習を重ねていくと、「身体の心地よさ」は「心の軽やかさ」に繋がっていることがわかるようになります。そうなると、囚われていた窮屈な感覚に気づき、自然にそこから離れようとする働きが起きるのです。

 

呼吸と動きのパターンを変えるという方法で、わたしはより自分自身に集中することができ、最後のくつろぎのポーズでは、何にも考えずそのままストンと眠りに落ちていました。

 

ずいぶん長く眠ったように感じましたが、ほんの僅かな時間だったようです。そのあと座位で行った呼吸と瞑想では、最高の集中が訪れました。面白い発見もありました。(お聞きになりたい方は連絡ください笑)

 

**************

 

私たちはひとりで生きているわけではありません。一枚の布の縦糸と横糸のように世界のすべてと関りあっています。他者や物事に「囚われ」ては、その「囚われ」の仕組みに気づき、自由になり、また何かに囚われて自由へと向かい、それはきっと一生続くでしょう。

 

けれども、ひとつのものごとに「囚われっぱなし」になる状態ではなく、ごちゃごちゃに見えているものの誤解の糸をほどいて、シンプルに状況を見直し、次の選択や行動を変えることはできるのです。

 

そして、だんだん囚われていることが少なくなるでしょう。囚われたとしても、心地の良い、ほんとうの自分の状態まで戻ってこられます。それが、わたしたちの魂を住まわせる場所なのです。

 

 

***********

 

今回のシリーズは「指導者養成でもリトリートでもない、あたらしい〈ヨガの学びのカタチ〉」ということでしたが、むかしむかしヨーガが伝えられる場に在ったエッセンスがあり、「あたらしい」というよりも「原点回帰」を思わせる講座でした。

 

 

 

2023年の2月からは、全4回でJ.Brown先生の講座が始まるそうです。今回の講座の冒頭、J先生が通訳の本田紀子さんと登場して、みなさんへの挨拶がありました。

 

J先生は、海を隔てたアメリカに住んでおられることを感じさせないほど心近く、お互いに学び合うという謙虚な態度をいつも忘れずにいるひとです。上から目線ではなく、友だちとして、いっしょに話し合ってくれる彼の在り方にいつも胸が熱くなります。

 

ヨーガは誰にでもできるもの。しかし、単なる体操ではありません。あなたが自分の暮らしの中で、あなたに向き合うことを続けたら、あなたのいのちは必ず応えてくれます。「ほんとうに生きる」という道を歩かせてくれるでしょう。そういった学びを望む方は、ぜひヨガのたねの講座へどうぞ。(運営チームへご紹介します)

 

もしくは、カタツムリのプライベートヨーガにお越しくださいね。いつからだって始めることはできます。あなたの歩みを尊重します。

 

目に見えないものは秤で測ったりできないけれど、その価値を心を込めてお伝えします。

 

 

写真:J.Brownのホームページ  https://www.jbrownyoga.com/

 

絵:朝霧カタツムリ(30余年前に描いたもの)